後天性サヴァン症候群とは?脳に強い衝撃を受けて天才が生まれるの?
特定の分野に驚異的な能力を発揮するサヴァン症候群。
知的障害のある人が、限られた分野についてのみ、他を寄せ付けない能力を先天的に示すことがあるとして、注目を集めています。
そうした驚異的な能力を、後天的に発揮するようになった人たちも、世界には30~40人ほどいることが知られています。
後天性サヴァン症候群と呼ばれる人たちです。
いずれのケースでも脳に衝撃を受けている
後天性サヴァン症候群と診断された人は、世界でも30~40人ほどしかいません。
平凡な日常生活を送っていた人が、何らかの脳への衝撃をきっかけに、それまで全く関心を持っていなかった方面のずば抜けた能力に目覚めるのです。
重度の脳震盪、くも膜下出血、外傷性脳障害、落雷による脳への障害、交通事故、てんかん発作など。
人生を大きく方向転換させることになった出来事はさまざまですが、いずれも脳に衝撃を受けている点で共通しています。
単に事故や病気で終わらなかったのは、どういう理由によるのか?脳の障害を被った箇所に何らかの共通点があるのか、事故や病気で終わった人との違いがどこにあるのかといったことが、研究されてきていますが、未だに明らかなことは分かっていません。
前頭側頭型認知症でもサヴァンのような症状が見られる⁉︎
サヴァン症候群は、先天的なものも、後天性のものも、脳の一部に障害が生じたり活動が低下したりした結果として、他の領域の活動性が高まったことが、ずば抜けた能力を発揮する原因と考えられています。
活動が低下した箇所はどこかということに関して、示唆的な現象と注目を集めているのが、前頭側頭型認知症です。
前頭側頭型認知症の患者には、時にサヴァンのような能力を示すケースがあることが、報告されています。
前頭側頭型認知症で侵されやすいのは、脳の左前側頭領域と眼窩前頭皮質です。
この2つの領域は、後頭部から送られてくる視覚系の活動を抑制する働きをしています。
視覚系の活動を抑制する働きが解除されて、芸術的な感性が生まれるのかもしれないと考えられています。
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tDCSは福音かドーピングか⁉︎
人間の脳は、まだ分かっていないことが非常に多く、隠れた才能が突如として目覚める後天性サヴァン症候群は、脳の可能性を追求する立場から研究が続けられています。
眠っている能力を人為的に導き出すことができないか?後天性サヴァン症候群と診断された人たちが、一様に脳に衝撃を受けていることに着目して、脳の特定の部分を外部から人為的に刺激する研究も進められています。
そうした研究で一定の成果を上げているのが、tDCSという手法です。
日本語では経頭蓋電気刺激。
頭皮から弱い直流電流を流す方法です。
2011年、オーストラリア・シドニー大学の研究者らが、tDCSによって、被験者にサヴァンのような能力を誘発することに成功しました。
しかし、長期的にこの手法を用いた時、どのような弊害が生じるのか、リバウンドはないのかなど、不明な点は少なくありません。
もしも、目立った弊害が無かったとしても、電気的ドーピングと考えられ、世の中の公平性を損なうとの意見もあります。
現在、適切な治療法がなくて困っている精神疾患患者や脳損傷患者への福音となるかもしれないとのことで、研究が続けられているようです。
▶︎サヴァン症候群とアスペルガー症候群の違いや関係について!
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